働き方改革は何から始めるべき?社内でできること7つを紹介
2019年から一部施行が始まった「働き方改革」は、働く人々がそれぞれの事情に応じて働き方を選択できるようにするための改革です。しかし、働き方改革に取り組もうと思っても、具体的にはどのようなことから始めれば良いのか分からないという人も多いのではないでしょうか。今回は、そもそも働き方改革とはどのようなものか、社内で始められる具体的な取り組み方を解説します。
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目次
働き方改革と改善のテーマとは?
働き方改革とは、50年後も人口1億人を維持しながら、誰もが職場や家庭、地域など属するコミュニティで活躍できる社会を実現するために、2019年4月1日から施行が始まった改革です。
働き方改革が始まった背景には、労働人口の減少があります。現在、日本は年々総人口が減っており、試算では2010年の100年後にあたる2110年には1/3まで減ると言われています。総人口が減ることで働き手が足りなくなると、国全体の生産性が低下して他国から取り残されてしまう危険があるため、今のうちから働く環境を整え生産性を向上させる必要があるのです。
働き方改革の取り組みを成功させるには「非正規雇用の処遇改善」「賃金引き上げ」「労働生産性向上」の3つの対応策が考えられます。これらの対応策をさらに具体的に示したものが、以下の9つのテーマです。
- 非正規雇用の処遇改善
- 賃金引き上げ・労働生産性向上
- 長時間労働の是正
- 転職・再就職支援と人材育成
- それぞれの事情に合わせた柔軟な働き方
- 女性・若者の活躍
- 高齢者の就業支援
- 病気の治療、子育て・介護と仕事の両立
- 外国人人材の受け入れの問題への対策
このように従業員の能力がより発揮されやすい環境を整備することで、企業全体としての生産性が向上し、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につながることを目指しています。
社内の働き方改革は何から始めるべき?
働き方改革のテーマは分かっても、一気に全ての問題を解決するのは非常に困難です。そのため、自社では何から始めるべきか迷ってしまう人も多いでしょう。働き方改革を始めるには、まずは会社の現状を把握して、抱える問題を洗い出すことが大切です。就業規則や雇用契約書の内容を従業員が守れているか、従業員が心身の健康問題を抱えていないか、社内アンケートやストレスチェック等で確認しましょう。
問題点が明らかになったのであれば、次は改善策を練って実行しましょう。しかし、改善策はただ実行するだけでは不十分です。なぜならば、業務改善は一朝一夕で成るものではないからです。実行後は経過を分析して、効果が得られなかった部分は再度改善をしていくことが大切です。
社内で働き方改革としてできること7選
社内でできる働き方改革の具体例を7つ紹介します。
残業時間の削減
昔の日本では毎日のように残業をして、長時間働く人ほど評価される傾向にありました。しかし、長時間労働は労働者の心身の健康を蝕み、プライベートの時間が減ることで生活の質を下げる要因となります。会社にとっても、法令上で義務付けられている労働時間の上限を超えれば罰則の対象となるので注意が必要です。
また、例え上限をギリギリ超えていなかったとしても、頻繁な残業は人件費や光熱費のコストがかさむ、労働の質が下がることで生産性が低下するといったデメリットがあります。以下の方法で残業時間を減らす工夫をしてみましょう。
- 従業員の勤務時間と業務内容を可視化し、不要な業務や短縮可能な作業はないか確認する
- 長時間労働を高評価する習慣を改善する
マニュアルを整備する
職場にマニュアルがない、あるいは各部署によって差異がある場合はマニュアルを整備しましょう。マニュアルを整えることで、作業者が作業内容に悩んだり迷ったりした場合、すぐにマニュアルを参照すれば解決できるので、担当者や上司に確認する手間が省けます。
また、新人作業者や部署異動してきた人もマニュアルがあれば自習できるようになるので、研修やレクチャーにかかる時間も削減でき、作業の効率化を図ることができるのです。
非正規雇用者の待遇を正規雇用の水準まで引き上げる
日本の非正規雇用者は、例え正社員と同等の仕事をしていても雇用形態が異なるというだけで賃金等は正社員と比べると6割程度と言われており、待遇に大きな差があります。この不合理な差を無くすことで、非正規雇用者のモチベーションが向上して生産性も上がることが期待されます。
また、非正規雇用者へ適切な処遇を行っていることが社内外に伝われば、離職率の低下や人材不足の解消も期待できるでしょう。
テレワークなどを導入して働き方を選べるようにする
一昔前までは、企業は自社の事情に合う人材のみを雇用するようにしていても、労働力が足りなくなることはありませんでした。しかし、労働人口が減少している現在では、そのような雇用方法では十分な人材を確保することはできません。労働力を増やすためには、フレックスタイム制やテレワークを導入して、働き方を多様化し、従業員が働きやすい環境を整えることが重要です。
労働者がそれぞれの事情に合った働き方を選べるようにすることで、これまで育児や介護、障がいなどの都合で働きにくかった人材も獲得しやすくなります。また、柔軟性を持って働けることで、労働者のモチベーションアップにもつながるでしょう。
高年齢労働者の就労促進施策をとる
2017年に内閣府が行った調査では、現在仕事をしている高年齢労働者の4割が「働けるうちは働きたい」と回答しており、就業意欲がある高年齢者は多くいます。高年齢者は加齢によって体力や視力などの身体能力は低下しているとはいえ、長年の勤続で培った知識や経験があります。高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、2021年4月1日から、企業は70歳までの就業確保措置を講じることが努力義務となりました。
今後、ますます高年齢労働者の増加が予想されます。高年齢者にとって働きやすい環境を整えることができれば、労働力不足を補うだけではなく、豊富なノウハウを次世代につなぐことも期待できます。そのため、高年齢者に対して雇用・定年延長の支援や就労マッチング支援を行うなど、積極的に高年齢者の労働参画を促すことが重要なのです。
多様性に合わせた職場整備
労働力を増やすためには、女性や高年齢者、外国人など、多様な人材が活躍できるように職場を整備することも大切です。職場整備の例としては、以下が挙げられます。
- 出産・育児、介護などの事情がある従業員へ休職制度や短時間勤務制度などを導入する
- 障がい者や高年齢の従業員が働きやすいように設備をバリアフリー化する
- 外国人労働者へ日本語習得のフォローを行う
- アンケート調査を行ったり相談窓口を設置したりしてハラスメント対策を行う
- 従業員同士のコミュニケーション機会を創出する
従業員のスキルアップのサポート
生産性を向上させるためには、従業員のスキルを上げることも有効です。スキルアップは従業員が自身の価値観を高め、働きがいを感じることにもつながるので、離職率の低下も期待できます。さらに、サポート制度は求職者にとっても魅力になるので、スキルアップ支援の導入は向上心がある優秀な人材の獲得にもつながる可能性もあるのです。以下を参考に、従業員のスキルアップ支援制度を取り入れてみましょう。
- 定期的に社内勉強会や研修を開催する
- 資格取得のための書籍購入費用やセミナー参加費などを負担する
- 資格を取得した従業員に対して手当を支給する
社内の働き方改革はできることから取り組もう!
人口の減少や多様な働き方へのニーズの高まりによって、企業の働き方改革への取り組みは必須とも言えるようになりました。社内の労働環境を整えることは、企業には「働き手の確保」「生産性の向上や顧客サービスの向上」、従業員には「ワークライフバランスの実現」「仕事に対するモチベーションの向上」と、双方に大きなメリットをもたらします。今回ご紹介した取り組み内容を参考に、自社にどのような制度を導入することが「働きやすい職場」につながるのかを検討したうえで、できることから取り組んでみてくださいね。
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