株式会社MEDI-TRAIN

更年期でも快適に仕事をするためにはどう相談すべき?

LINEで送る
Pocket

 

経済産業省の調査※1によると、月経や更年期を含む女性特有の健康課題に対し約7割の女性従業員は「十分なサポートがない」と感じており、必要なサポートとして「上司や周囲の理解」と答えています。一方、企業の管理者の約3割は「何をすればいいか分からない」と答えています。このことから、働く多くの女性が健康問題に対してサポートしてほしいと思っている一方、企業側は何をしていいのか分からないという現状が見えてきます。

 

女性の健康課題の中でも、最も経済損失の大きい更年期。閉経を挟んだ約10年にも及ぶ長い更年期の期間をできるだけ快適に仕事を続けていくためには、ご自身の体調管理だけでなく環境の調整も重要です。職場の理解と協力を得ることもその一つです。

今回は、更年期の不調について職場に相談する際のポイントをお伝えします。

 

〈参考〉

※1 令和6年2月経済産業省ヘルスケア産業課「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」

 

更年期症状と仕事への影響を整理する

更年期症状は、ホットフラッシュ、動悸、肩こり、頭痛といった身体的な症状や、イライラ、落ち込み、不安感、集中力低下といった精神的な症状など多岐に渡り、その数は200種類以上とも言われます。

そこでまず、ご自身の症状とそれによって仕事上ではどのような影響が出ているのかを整理してみましょう。相手にわかりやすく伝えるため、受診時にもらったパンフレットや、ネット上で見つけた絵や図を活用するのもお勧めです。

 

〈例〉

  • 同時に複数の仕事が重なると、今までのようにこなすのが難しい

  • 些細なことにも苛立ってしまい、部下への当たりがきつくなってしまう
  • 重要な会議など、緊張感や閉塞感のある場にいると動悸がして気分が悪くなる

  • 期日の迫った仕事を抱えると、焦りと不安感が強くなり冷静に取り組めない
  • 日によって頭痛が重くて起き上がれないときがある

 

 

必要なサポートを具体的に伝える

どのような症状があり、そのために業務上どのような支障があるのかを整理できたら、次にサポートしてほしい内容を具体的に挙げてみましょう。現状では支障があるけれど、例えば「こんな配慮があればできそうだな」「こうしてもらえば気持ちがずいぶん楽になりそう」と思うことを考えてみます。

いろいろな症状がある場合は、特に仕事上影響の大きい症状や「せめてこれさえ何とかなれば!」と思う症状に焦点を当てて考えてみます。

 

受診をしていて、医師から仕事に関して何らかの指導を受けている場合には「医師からも○○と言われています」と伝えておきましょう。また、更年期と言いにくい場合や、更年期症状かどうかはっきりしない場合には、あえて更年期という言葉を使わなくても大丈夫です。「体調不良」や「ホルモンバランスの乱れ」などと伝えるといいでしょう。

 

〈例〉

  • ここ数か月体調が優れないので、落ち着くまで少し業務量を軽くしてほしい

  • 責任の大きい仕事や重要な判断を要する業務を減らすか、誰かにフォローをお願いしたい
  • 体調に応じて休憩時間を調整してほしい

  • 体調によっては急に休みや遅刻、早退となることがあるかもしれない
  • 会議は出入口付近の席にして、辛いときには一時退出させてほしい

     

 

「前の自分に戻す」より「新しい自分」へ

更年期を境に、女性の心や体は大きく変化します。これまで当たり前にできていたことが同じようにできなくなったり、心や体が予想外の反応をしたりと、それは今まで思っていた「私」という認識が揺らぐような経験かもしれません。その変化に焦りや不安を覚え戸惑うのは当然のことです。ましてや、その不調や不安を職場など周囲の人へ伝えることはとても勇気が要ることでしょう。

 

更年期の不調は絶対に言わないといけないわけではありませんし、自分なりの対処で支障なく生活できるのであれば特に問題にはなりません。しかし、自分だけの対処では改善しない場合は、周囲にHELPを出して力を借りることが必要です。隠すよりも受け入れてオープンにすることで、自然に周囲のサポートを得やすくなることもあります。

 

以前、ホットフラッシュに悩んでいた方からこんなお話を聞きました。

職場で自分だけ暑くて汗だくで…恥ずかしくて人知れずこっそりエアコンの温度を下げたり、汗だくなのに涼しい顔して繕ったりすることがとてもストレスで、いつまでこんなことを続けなければいけないのかと辟易していました。ある日、思い切って「ホットフラッシュで体温調整が大変です」と職場で話したとのこと。すると「自分の母親も同じです!」という若い子がいたり、気にして空調の調整をしてくれる人がいたり、ひんやりする汗拭きシートをくれる人がいたり…周囲の人が何かと助けてくれるようになったそうです。さらに、ご自身も若い子の顔色や様子をみて「体調大丈夫?」などと声をかけやすくなり、お互いに手助けしやすくなったと話していました。

 

更年期に限らず、誰しも体調や気持ちが優れないときはあります。このように皆が体調を気遣いあって、互いにフォローできる職場はとても素敵だなと思った一例でした。

 

まとめ

いかがでしたか。性別や年齢によって特有の健康課題があることは知識として知っておく必要がありますが、誰しもさまざまな事情を抱えながら生活しています。

「更年期だから」「生理だから」「妊婦だから」など、特定の理由にかかわらず、必要な時には誰もがHELPを出すことができ、周囲のサポートを得られる職場であると嬉しいですね。

この記事を書いた人

宮本裕美子

株式会社MEDI-TRAIN
看護師/助産師/保健師
日本思春期学会性教育認定講師
総合病院、クリニックにて、7年間分娩介助に従事。その後、神奈川県内の婦人科クリニックにて、思春期から老年期まで全ての年代の女性を対象にした看護業務に従事。
現在は、湘南鎌倉医療大学博士前期課程にて、リプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)に関する研究を行っている。

この著者の記事一覧

コメントは受け付けていません。

LINEで送る
Pocket

関連記事RELATED ARTICLE

コンディショニングを通じて働く人のパフォーマンスを上げる企業サポートを行います。

お気軽にご相談下さい お気軽にご相談下さい arrow_right
PAGE TOP