働く女性の月経マネジメント
皆さんは、ご自身の月経周期や特徴を把握していますか?月経に関して困っていることはありませんか?
女性は、女性ホルモンによってコントロールされる約1ヶ月の月経周期があり、それによって心や体はさまざまな影響を受けています。月経とうまく付き合えるか否かで、日々の健康状態、仕事のパフォーマンス、周囲との人間関係が左右されるといっても過言ではありません。今回は、みなさんの健康マネジメントに役立つ月経のお話をお届けします。
目次
意外と知らない月経の“普通”
月経に関する教育の現状を調べた研究によると、学校で教わるのは「月経のしくみ」や「ナプキンの使用法」が中心であり、月経の正常・異常の判断や、月経に伴うさまざまな不快症状とその対処方法についてはほとんど扱われていないということです。
では、親から教えてもらうかというと、多くの親も受けてきた月経教育は同様のものです。さらに、親と子は20〜30年程度は歳が離れているので、時代とともに変化する月経への価値観や対処方法、月経用品などについては知らないことが多いのが現状です。
加えて、月経は基本的に隠すものというような、性をタブー視する文化も相まって、私たちは自分の体のことながら月経について正確に学ぶ機会もなく、相談する場も限られているという中で生きているのです。
その結果、自分の月経が正常なのか異常なのかを判断できず、治療が必要な状況を放置していたり、治療方法があるにもかかわらず、辛い症状を長年ただ耐えて過ごしていたりするのです。
私の生理、大丈夫?自分の生理をチェックしよう
ここでは基本的な月経の知識や月経に関する諸症状について解説します。
①月経周期
月経の持続日数と月経周期を混同している方を時々見かけますが、月経周期とは、月経開始日から次の月経開始の前日までの日数です。
正常な月経周期は、25日〜38日(±6日以内)とされています。
いかがでしょう、意外と正常の幅は広いと感じませんか。
「いつもはピッタリ30日周期なのに、今回は26日だったので心配です」
「生理が早く来た!ふだん遅れることはあっても早まることはないのに…心配」
このような主訴で受診される方もいらっしゃいますが、正常の幅の中での変動は問題ありません。
月経周期は、心身のストレスや環境の変化、生活習慣の乱れ、急激な体重の増減などでも変動します。
自分の月経が不規則かもしれないと思う方は、基礎体温をつけることをお勧めします。基礎体温をつけると、ホルモンが正常にはたらいて、きちんと排卵が起こっているかが可視化できます。
基礎体温までは大変でつけられないという場合でも、手帳などに月経の日、性交渉のあった日、体調の変化などを記録しておきましょう。
これは自分の健康をマネジメントする上でとても意義がありますし、妊活に入るときなどにも活用できます。
➁月経痛
「痛み止めを飲まないと生活できない」「痛みで動けない」など、生活に支障が出るほどの月経痛は月経困難症といい、治療の対象です。
ここで大切なのは、月経困難症かどうかの判断基準は、自分ということです。
明確な診断があって医師が決めるわけでもなく、「あの人ほどではないから」などと他人基準で決めるわけでもなく、「この痛みだと私は困ります」という主観で決めるということです。
月経困難症は、子宮内膜症のリスクになることが分かっています。または、すでに婦人科疾患があり、そのために月経痛が強くなっている場合もあります。
「月経痛は仕方ない」ではなくて、「強い生理痛は治療が必要」ということを覚えておきましょう。
③月経前症候群(PMS)
月経前3~10日の間に起こる、さまざまな精神的・身体的不調のことです。
症状は、イライラ、憂うつ、理由なく涙が出る、お腹や乳房の張り、頭痛、腰痛など多岐にわたります。
月経の開始とともに、あるいは長引いても月経開始3日目頃には症状が落ち着くものをいいます。
「怒りっぽい」「マイナス思考」「体調のいい日があまりない」
そんな自己認識をお持ちの方も、実はPMSだったということもあります。
逆にPMSのせいと思っていたら、症状は月経周期とは連動しておらず、他の診療科へ紹介になるケースもあります。
思いあたる方は、まず体調の記録をつけてみましょう。
④過多月経
月経は人と比べたりしないので、自分の量が多いのかどうかは分かりにくく、「普通の量」と思っていたけれど実は過多月経で貧血が進んでいたというケースは決して珍しくありません。
20~40代女性の約65%が「貧血」もしくは「かくれ貧血」と言われています。
貧血だと、めまいや立ちくらみだけではなく、だるさ、頭痛、やる気の低下、疲れやすい、肌荒れ、爪の変形、むくみなどさまざまな症状が起こります。
「PMSだと思っていたら貧血だった」「更年期障害だと思ったら貧血だった」などのケースも多いです。
貧血を調べる場合、健康診断の血液検査などで測定する「ヘモグロビン」の値だけでなく、肝臓に蓄えられている「フェリチン」の値も重要です。
健康診断で貧血を指摘されなくても、上記の症状に当てはまる方は一度婦人科へ相談に行くことをお勧めします。
まとめ
いかがでしたか。特に下記に該当する方は、早めに婦人科へ相談に行くことをお勧めします。
☑ 生理が3か月以上止まっている
☑ 生活や仕事に支障があるほど生理痛が強い
☑ 生理前の不調のせいで困っている
☑ 昼間でも夜用ナプキンを使う日が何日かある
☑ レバー状の塊が経血に出る
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