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健康経営とワーク・エンゲイジメント

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ワーク・エンゲイジメントとは、仕事に関してポジティブで充実した心理状態を指し、健康増進と生産性向上の両立につながります。ワーク・エンゲイジメントの高い従業員は、仕事にやりがいを感じ、活き活きと働いているため、まさに健康経営が目指す理想像です。

今回は、ワーク・エンゲイジメントの向上につなげていくポイントを解説します。

健康経営とワーク・エンゲイジメント

 

ワーク・エンゲイジメントとは?

ワーク・エンゲイジメントとは、

  • 「仕事に誇りややりがいを感じている」(熱意)
  • 「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)
  • 「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)

の3つの要素が揃った状態です。

 

ワーク・エンゲイジメントの高い従業員は、心身の健康が良好で仕事にもやりがいを感じており、生産性も高いことが分かっています。従業員一人ひとりが健康的で、活き活きと仕事に取り組むことは、従業員の幸せにとっても、企業の生産性にとっても重要です。

 

ワーク・エンゲイジメントの高低を左右する要因は、仕事の裁量、報酬、上司・同僚・部下との関係性など「仕事に関する要因」と、自分を取り巻く環境をうまくコントロールできる能力や自己肯定感など「個人に関する要因」に大別できます。

 

ワーク・エンゲイジメントとワーカホリズム

ワーカホリズムは「過度に働くことへの衝動性ないし、コントロール不可能な欲求」を表す概念のことをいいます。

ワーカホリズムは活動水準が高く、仕事に多くの時間とエネルギーを注いでいる点で、ワーク・エンゲイジメントと共通しています。

 

しかし、両者には異なる点があります。

ワーク・エンゲイジメントが高い人は「充実感を感じながら前向きに」働くのに対して、ワーカホリズムな人は「脅迫的に」に働きます。

脅迫的に働くとは、常に周囲からのプレッシャーを感じ、期待に応えなければいけない、と不安や焦燥感が強くなっている状態のことです。

 

一方で、ワーク・エンゲイジメントが高い人は、仕事にやりがいを感じ、夢中になりながら仕事に多くの時間やエネルギーを費やしている状態です。

ワーク・エンゲイジメントに関するいくつかの研究によると、ワーク・エンゲイジメントと健康、仕事・組織に対する態度、パフォーマンスとの関連が報告されています。

 

  1. 健康に関しては、ワーク・エンゲイジメントが高い人は、心身の健康が良好である
  2. 仕事・組織に対する態度では、職務満足感や組織への愛着が高く、離職率や疾病による休業の頻度が低い
  3. パフォーマンスでは、自己啓発学習への動機づけや創造性が高く、部下へのリーダーシップ能力が高い

ことが分かっています。

 

従業員のワーク・エンゲイジメントを向上させるためには?

従業員のワーク・エンゲイジメントを向上させるためには?

 

従業員のワーク・エンゲイジメントを向上させるための方法として、「組織ができる工夫」「従業員個人ができる工夫」に分けて取り組む必要があります。

 

(1)組織ができる工夫

組織ができる工夫として、従業員の「外的資源」を高め、従業員一人ひとりの、さらには組織全体のワーク・エンゲイジメントを高めていきます。

具体的には、①管理者研修(従業員のサポート能力の向上を目的とした教育研修)②職場環境の改善(職場のストレス要因の軽減を目的とした改善活動)の2つの活動があります。

 

従業員のワーク・エンゲイジメントを向上させるために、従業員個々の「強み」を生かした職場づくりを行うことが生産性と健康度の向上につながります。

そのためには、従業員の「強み」やモチベーションを引き出す要因は何であるのかを知り、モチベーション向上のために働きがいのある組織づくり、職場の人間関係への満足感を高めていく取り組みが必要となります。

 

(2)従業員個人ができる工夫

従業員一人ひとりは、仕事への自己効力感を高める工夫を行い、ワーク・エンゲイジメントを向上させていきます。

仕事への自己効力感を高めるためには、ストレスに対処するスキルの他、仕事を上手に進めていくためのスキルを向上させていく必要があります。

タイムマネジメントスキルや上司、同僚、部下、顧客などとの人間関係を円滑にするためのコミュニケーションスキル、直面した問題を解決するための問題解決スキル目標達成スキルなどを高めていくことが、仕事への自己効力感を高め、ワーク・エンゲイジメントの向上につながっていきます。

 

まとめ

今回は健康経営とワーク・エンゲイジメントについて解説しました。

組織、従業員ともに「健康」という基礎がなければ、ワーク・エンゲイジメントは向上しません。

したがって、健康経営を経営戦略として取り組み、健全な職場環境をつくり、従業員も自己研鑽を積むとともに健康的に働けるように自己保健に努めることが必要となります。

一人ひとりの「健康度の向上」と「企業利益の向上」の両立を目指した健康経営に取り組んでいただきたいと思います。

 

 

 

この記事を書いた人

伊藤彰浩

株式会社MEDI-TRAIN代表取締役
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー/理学療法士
健康経営エキスパートアドバイザー
スポーツ整形外科でトップアスリートや子どもから高齢者まで幅広い年代に向けたリハビリテーションを経験。
現在は、首都圏を中心にアスリートや産前産後の女性のリハビリテーション、コンディショニングを行っている。
その他、企業の健康経営サポートや医療・介護福祉施設でのリハビリコンサルティングも行っている。

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