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今年もやって来ました…ホットフラッシュと過ごす夏

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ホットフラッシュで汗をかく女性

 

毎日暑い日が続いていますね。

今年も本格的な夏がやって来ました。この時期になると婦人科外来では、こんな声が増えてきます。

「ただでさえホットフラッシュで辛いのに暑さで汗倍増です」

「ホットフラッシュなのか暑さなのか・・・」

「まさに滝のような汗です」

止まらない汗に格闘したり、服装選びに頭を悩ませたり。

そうかと思えば、首から上は暑いのに手足は冷えてしまうという方もおり、夏ならではの困りごとを抱えながら過ごしている方も少なくありません。

 

今回は、そんな更年期の女性たちから外来でよく耳にする「夏の困りごと」と、少しでも心地よく過ごすためのヒントをお届けします。

「これ、私だけじゃなかったんだ」と、ほっとしていただける時間になれば幸いです。

 

辛い夏のホットフラッシュ

ホットフラッシュは、更年期に見られる代表的な症状の一つです。

突然、顔や上半身がカーッと熱くなって汗が噴き出したり、その後ゾクゾクと寒気を感じたりします。

更年期は、女性ホルモンの低下により、もともと体温を調節する機能が揺らいでいますが、夏は気温や湿度が高く、また暑い外と冷房の効いた室内とで温度差が大きくなります。

そのため、体温調節に関わる自律神経はより乱れやすくなり、症状をより強く感じやすくなります。

 

「暑い」だけではない、更年期の困りごと

「ホットフラッシュ=暑い、汗」というイメージがありますが、実際に外来で伺うのは、もっと生活に密着した切実なお悩みです。それは、仕事や生活環境、その人が大切にしていることなどによっても大きく変わります。

 

ご自宅で過ごす時間が多い方であれば、着替えたり、涼しい場所でひと休みしたりと、自分のペースで対応しやすいかもしれません。

一方で、接客業や人前で話す仕事、制服のある職場では、「急に汗が出たらどうしよう」「汗ジミが目立っていないかな」と気になり、それが大きなストレスとなることもあります。

「以前、大事な会議中に急に汗が噴き出してしまって…」「また同じことが起きるのではないかと思うと、その場に行くだけで緊張してしまいます」というようなお話をされる方も少なくありません。

汗そのものだけでなく、「また起こるかもしれない」という不安が重なることで、動悸や息苦しさなど、軽いパニック発作のような症状につながることもあります。

 

また、夜間の寝汗で何度も目が覚め、睡眠不足が続くことで、日中の疲労感や倦怠感が強くなり、「何をするにも気力が湧かない」「気分まで落ち込んでしまう」と感じる方もいます。

 

職場の空調に悩まれる方も少なくありません。

「皆さんは快適そうだから、自分だけ温度を変えてほしいとは言えない」「気を遣って冷房を強くしてくれたけれど、今度は手足が冷えてつらい。それでも『ありがとうございます』と言って我慢してしまう」。そんな小さな我慢が毎日積み重なっていくこともあります。

 

このように、更年期の困りごとは「暑い」「汗が出る」という症状だけではありません。その症状が暮らしの中でどのような影響を及ぼしているのか、一人ひとり違う物語があります。

だからこそ、「更年期だから仕方ない」と我慢する前に、自分はどんな場面で困りやすいのか、何が負担になっているのかを知ることが大切です。

困りごとが見えてくると、「服装を工夫してみよう」「会場では出入口に近い席を選んでみよう」「職場で相談してみよう」など、自分に合った付き合い方も見つけやすくなります。

 

みんははどうしてる?ホットフラッシュ対策

ホットフラッシュは、人によって症状の現れ方や困る場面が異なります。そのため、「これさえすれば大丈夫」という方法はありません。

まずは、「自分はどんな場面で困りやすいのか」を知ることが対策の第一歩です。その上で、自分なりの付き合い方を見つけてみましょう。

ここでは、一般的に言われる対策や私が外来で伺った皆さんの対策について、いくつかご紹介したいと思います。

服装の工夫

  • 綿や麻など、通気性の良い素材を選ぶ

  • 黒やグレーよりは、白やベージュ、柄物を選ぶ方が汗ジミが目立ちにくい

  • タイトなものよりも、風が通りやすいゆったりしたシルエットがお勧め

アイテムの工夫

  • タオル素材のハンカチ、携帯扇風機など、暑さ対策用品を活用する

  • 薄手のカーディガンを持ち歩くなど、冷えへの対策も大切

行動の工夫

  • 出勤や人と会う約束は、早めに到着してクールダウンの時間まで入れた計画にするなど、汗をかく前提で予定を考える

寝る時の工夫

  • 普段以上に睡眠の質に配慮してみる(就寝1~2時間前に入浴を済ませる、寝る前にスマホを見ない、パジャマや寝具の素材を見直すなど)

自分の「引き金」を見つける

緊張、不安、焦り、睡眠不足、疲労、辛い食べ物、熱い飲み物、アルコール、カフェイン、温度差など、体温調節機能に影響を与える要因はいろいろです。

自分はどの影響を受けやすいのか、いわゆる“ホットフラッシュの地雷”を知っておくと対策に役立つでしょう。

 

 

そして最後にお伝えしたいのは、「汗に焦らない」です。

ふざけているわけではなく、これが実はけっこう大事なのです。

カーッとした熱さも汗も、自分の意思で止められるものではありません。けれど、どうしても「また汗が出てきてしまったな」「早く止まって!」「周りの人はどう思ってるかな」と思いがちです。

大事な場面でこそ思ってしまい、余計に焦ってしまうということもあるでしょう。

「汗が出たらどうしよう」と思うと、身体は緊張モードになり、より汗やほてり、動悸を感じやすくなるのです。

 

そんな時はぜひ思い出してください。

「あ、今がんばって身体は体温調節してくれているんだな」と。

「止めなければ」と思うより、「今はこういう時間だな」と俯瞰して眺めることが、案外汗の引く近道になるかもしれません。

 

まとめ

ホットフラッシュは、一人ひとり症状の現れ方も困る場面も違います。だからこそ、「これが正解」「こうすればいい」という方法はありません。

・どんな時に症状が強くなりやすいか

・どうすれば少しでも楽になるか

そんなふうに、自分だけの取扱説明書を作るような気持ちで、ご自身の身体のパターンを少しずつ知っていくことがとても大切です。

 

全部を完璧にできなくても大丈夫です。

今日からできそうなことを、一つ試してみる。その積み重ねが、「私にはこんな付き合い方が合っているかな」という安心感につながっていくでしょう。

皆さまの夏が、少しでも心地良く過ごせるものになりますように。

この記事を書いた人

宮本裕美子

株式会社MEDI-TRAIN
看護師/助産師/保健師
日本思春期学会性教育認定講師
総合病院、クリニックにて、7年間分娩介助に従事。その後、神奈川県内の婦人科クリニックにて、思春期から老年期まで全ての年代の女性を対象にした看護業務に従事。
現在は、湘南鎌倉医療大学博士前期課程にて、リプロダクティブヘルス(性と生殖に関する健康)に関する研究を行っている。

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