鉄欠乏性貧血とは?貧血と生理の関係

「貧血」という言葉は日常的によく聞く言葉でしょう。
それがゆえに、そんなに大した問題ではないようなイメージがあるかもしれません。
実際に婦人科で患者さんに「貧血ですよ」と伝えた時には、「あ、そうですか」「前からです」という具合に軽い反応が返ってくることが多いです。健康診断の結果を患者さんと一緒に見ていても、コレステロール値や血圧などの異常値には「これはマズイですよね」「ショックでした」「ビックリしました」のような反応を示すのに対し、貧血の値はサラッと流す方も多いです。
しかし!貧血は決して侮ってはいけません。
特に女性は、毎月の生理で血液を失います。生理の量が多い方では、知らず知らずのうちに貧血が進んでいることがあります。
さあ、この記事を読んだら、さっそく直近の健康診断結果を確認してみましょう。
目次
血液の役割
血液は、体のなかで様々な仕事をしています。具体的には、血液や栄養の運搬、老廃物の運搬、ホルモンなどの情報を伝達、病気から体を守る、体温や体液の調整、止血が挙げられます。生命を維持するために血液は欠かせない存在なのです。
貧血で起こる症状
貧血とは、酸素を運ぶ血液中のヘモグロビンが低下し、全身に酸素を運ぶ機能が低下している状態を言います。貧血になると、次のような症状を引き起こします。
- 倦怠感・疲労感
- めまい・立ちくらみ
- イライラする
- 髪の毛が抜けやすい
- 爪がもろく割れやすい、爪がスプーンのように反る
- 動悸・息切れ
- 頭痛・頭が重い
- 落ち込みがち
- 氷をガリガリ食べる
こうした症状があっても、「貧血なのかもしれない」と思う方は意外に少ないようです。
婦人科でも、「更年期のせいか、最近疲れやすく常にだるいです」「PMSでメンタルが不安定です。頭もよく痛くなります」などの主訴で来院した方が、診察の結果、更年期やPMSではなく貧血が原因だったというケースも決して珍しくありません。
また、ダイエットをしている女性や激しいスポーツをしている女性は、より貧血になりやすいです。思春期の娘さんがいらっしゃる方は、ぜひお子さんの生理や体調も気にかけてみてください。
- 激しい運動部に所属している
- 疲れやすさや息切れがあり部活動をこなすのが辛い
- 頭痛や倦怠感をよく訴えている
- 元気や活気、やる気がないように見える
こうした様子が見られるお子さんは、生理の量が多くないかを一緒に確認してみましょう。
あなたの生理は大丈夫?生理の量を確認してみましょう
貧血になる原因としては、ケガによる出血や血液の病気、臓器の病気など様々なことが挙げられますが、最も多いのが鉄欠乏性貧血です。これは、ヘモグロビンの材料となる鉄が不足することで起こります。特に女性の場合、生理によって鉄が失われることで鉄欠乏性貧血となりやすいのです。
生理のある20~40歳代の女性の65%が貧血または、かくれ貧血(ヘモグロビン値は正常だが肝臓に蓄えている鉄が不足している)であるとされています。
では、ご自身の生理の量を思い出しながら次のチェック項目をご覧ください。
- 1~2時間おきにナプキンやタンポンを交換する必要がある
- レバーのような血の塊がよく出る
- 生理が8日以上続く
チェックが付いた方は、正常よりも生理の量が多い「過多月経」の可能性があります。さらに、前述した貧血症状も伴っているようならば、過多月経によって鉄欠乏性貧血が引き起こされている可能性がありますので、なるべく早く婦人科へ受診しましょう。
まとめ
「だるい」「疲れやすい」「心が不安定」「頻繁に頭痛がある」こうした不調の背景には、もしかすると貧血が隠れているかもしれません。特に40代以降の方は、ホルモンバランスが乱れやすく生理の量が多くなったり、長引いたりしやすいので注意が必要です。
さあ、さっそく健康診断の結果を確かめてみましょう。
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