職場におけるSDGs目標「ジェンダー平等」の現状と改善策を解説
「SDGs」とは、貧窮や気候変動など人類が直面している課題を解決し、今後も安定して暮らし続けるために国連サミットで採択された17の目標のことです。その5つ目の目標である「ジェンダー平等を実現しよう」は、日本では「深刻な課題がある」状態であり、対策が不十分とされています。今回は職業における女性の社会進出の現状と取り組み方を解説します。
この記事を読むための時間:3分
目次
SDGsの目標5で掲げられる「ジェンダーの平等を実現しよう」とは?
女性は差別や暴力の対象となりやすく、世界では教育格差が生まれたり、結婚適齢期に満たない少女が結婚・妊娠・出産を強いられたり、家事や育児を押し付けられたりと差別を受けるケースが多くあります。日本でも男女の雇用機会や賃金の格差が問題となっており、特に力を入れて取り組む必要がある課題と言えます。
日本における女性の社会進出の現状
日本における女性の社会進出の状況を2019年12月に発表された最新のジェンダー・ギャップ指数で見てみると、153か国中121位、主要7か国(G7)の中では最下位であり、他国と比べると大きく遅れていることが分かります。
もちろん、国としても何もしていないわけではなく、2016年4月には「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」を施行するなど様々な取り組みが行われています。
しかし、今でも「男は外で働き女は家庭を守るもの」というジェンダーバイアス(男女の役割における固定観念)が色濃く残っていたり、女性活躍推進のメリットがいまいち分からずジェンダー平等への取り組みに消極的であったりする企業もあり、女性の活躍推進は阻害されがちであるのが現状です。
女性活躍を推進するメリットとは?
女性の活躍推進が阻害される原因のひとつに「女性活躍のメリットを企業が理解できていない」ということがあげられます。女性活躍の推進には企業の成長に重要な2つのメリットがあります。それぞれ詳しく見てみましょう。
女性からの視点を得られる
女性が活躍している企業は、女性全体のニーズや妊娠、出産、育児、更年期など女性のライフイベントごとのニーズもしっかりと把握することができます。男性だけでは見えにくかった顧客のニーズが見えることで、新商品の開発につながったり、販売戦略の幅が広がったりするでしょう。
労働力不足の解消
少子高齢化が進む日本では労働人口の減少が大きな問題となっています。結婚や出産、育児などで労働現場を離れがちだった女性が復帰しやすい、働きやすい環境を作ることで労働力不足を補うことが期待できます。さらに、女性の健康をサポートする制度を整えれば、離職のリスクも少なくなるだけででなく、職場復帰後のパフォーマンスも上がりやすくなります。
職場のジェンダー平等のためにできること
職場のジェンダー差別をなくし、男女が平等に働けるようになるためにできること3つを解説します。
女性が働きやすい職場環境を整える
女性が仕事や社会から離れてしまう主な理由には、結婚・出産・育児・介護が挙げられます。働きたい意思はあっても、子どもがいるから、家族の介護をしなければいけないからと、復職を諦める人は多くいます。女性が結婚や出産後も働きやすいように、リモートワークを取り入れるなど働き方を選べるようにしたり、育児支援制度を整えたりと職場環境を整えましょう。
男性(夫)の育児参加・協力が不可欠
子育て世代の女性が働くためには、男性(夫)の育児参加・協力が不可欠です。ところが、現状は男性の育児休業取得率の低さなどからも分かるように、きわめて不十分な状況が続いています。そのひとつの大きな要因になっているのが、長時間労働を余儀なくされる男性労働者の働き方であり、また根強く残る男女役割分担意識です。したがって、子育て世代の女性が、働きる続けるためには、男性(夫)の長時間労働を抑制し、男女役割分担意識を変えることが必要です。男性が育児休業を取得しやすいように、企業側が前向きな姿勢で育児休暇の取り組みを行えば、職場の雰囲気も変わっていくでしょう。
社員研修などを行い意識改革を行う
女性活躍推進法の制定などにより、人々のジェンダー意識は年々変わりつつあります。しかし、企業ごとに見ると未だジェンダーバイアスが色濃く残っているケースもあります。職場のジェンダー平等を実現するには、女性活躍推進のチームを設置する、社員研修を行う、社内報で情報発信をするなどして、従業員一人一人の意識改革を行うことが重要です。社員全員がジェンダーや女性のヘルスケアの基礎知識を身につけて、共通認識をつくることが非常に有効です。
ジェンダー平等な職場環境を整えて行こう
SDGsの目標の中でも、日本が「深刻な課題」を抱えている目標5「ジェンダー平等を実現しよう」。日本は深刻な労働人口不足にも陥っており、働く場のジェンダー平等を実現することは、人材の確保にもつながります。できることから少しずつでもジェンダー平等のための取り組みを行っていきましょう。
次の記事へ