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産後の運動はいつから?どんな運動を行うの? 

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産後のストレッチ

 

出産を終え、やっとほっとできると思ったのも束の間、赤ちゃんとの生活が産後すぐにスタートします。身体も心も休めずに無理をしたり、頼れる家族が近くにいないなど、さまざま要因から「産後うつ」になる方は年々増えてきていると言われています。

妊娠前よりも元気な心と身体を取り戻すために、産後はいつから、どのような運動を行うと良いのかお伝えしていきます。

 

この記事を読むための時間:3分

産後の運動が産後うつ予防になる!?

妊娠中や産後の運動は、産後のうつ病の発症予防に効果的であることが2019年アメリカの文献「Preventive Services Task Force「Recommendation Statement」※1に記載されています。

また、産後うつと腰痛の関係では、腰痛があった女性と腰痛がなかった女性を比較すると、産後うつの罹患率が3.2倍高かったという報告があります。※2

 

※1 US Preventive Services Task Force,Curry S,Krist AH,et al.Interventions to prevent perinatal depression:US Preventive Services Task Force Recommendation Statement.JAMA321(6):580-587,2019

※2 Long G.Yao.Na Y,et al.Different types of low back pain in relation to pre-and post-natual maternal depressive symptoms. BMC Pregnancy Childbirth 20:551,2020

 

産後の身体の回復の要は、骨盤底筋群のケア

妊娠、出産、産後の身体のトラブルには、すべて膣周りが関係しています。骨盤の底についている「骨盤底筋群」という筋肉は、出産の際になんと3.26倍も伸びると言われています。※3

ご自身で筋肉をどんなに伸ばそうとしても1.5倍が限界です。出産が交通事故レベルと言われる背景には、このような骨盤底筋群のダメージが関係しています。

妊娠中に引き伸ばされ、使いにくくなってしまった骨盤底筋群やお腹周りの筋肉などを動かすことで、産後の身体の回復に繋がります。

 

※3 Lien KC,et al:Levator ani muscle stretch induced by simulated vaginal birth.Ob-stet Gynecol 103:31-40.2004

 

産後の運動を安全に始めるためのポイント

理学療法士が産後の運動を解説

 

産後の運動を安全に始めるためのポイントを解説します。

運動を開始する時期

深い呼吸をしながら行う腹式呼吸は、産後1日目から行うことが可能です。妊娠中から出産にかけて、大きく変化したお腹周りや骨盤底筋群に対して、緊張が取れるようにゆっくり呼吸を届けてあげてください。

 

1か月検診で、ママの身体の回復が順調であることを確認してから運動を開始することをお勧めします。

産後6~8週間は「産褥期」と言われており、徐々に身体が戻ってくる時期です。この時期は、妊娠中のホルモン変動の影響も残っているため、骨と骨を繋いでいる靭帯もまだ柔らかい時期です。

産後3か月以降に、軽い運動から始めて少しづつ身体を慣らしていきましょう。

 

帝王切開の方は、傷口の影響もあるため、傷口が治癒する産後6週間くらいまでは腹部に圧がかからないようにするために、赤ちゃんよりも重たいものを持ち上げるのは避けるように気をつけましょう。

 

オススメの運動「骨盤底筋エクササイズ」

産後に効果的な、骨盤底筋エクササイズをご紹介します。

①膝を立てて仰向けになり、腰の下にクッションを入れる、または椅子やバランスボールなどに足を挙げた姿勢をとります。

②お腹やお尻には力が入らないように気をつけながら「膣」を「おへそ」のほうに引き上げるイメージで締めていきます。その際はゆっくりと腹式呼吸を意識しながら行うと効果的です。

 

*骨盤底筋群の動きは分かりにくいため、専門家の指導の下で行うことでより効果が増します。

 

産後の運動の注意点

くれぐれも無理をしないことが大切です。そして、呼吸を通して産後使いづらくなっている骨盤底筋群や腹筋などを戻していく運動から始めていきます。身体や傷口の回復段階には個人差があります。ご自身の身体の声を聞きながら徐々に進めていきましょう。

また、ベットから動くことができないくらいの腰痛などはごくまれですが、「妊娠後骨粗鬆症」という病態による骨折の可能性もあります。その際は、速やかに整形外科を受診しましょう。

 

まとめ

産後の運動として、妊娠・出産によって大きく変化した身体や心に対して労う気持ち、寄り添う気持ちを込めて、まずはゆっくり呼吸を届けてあげてください。そして、産後から休養を十分にとることができる環境設定を産前から準備を行い、周囲のサポートをしっかり整え無理をしないことが大切です。そのような安心できる環境の中にいることで、少しずつご自身の身体と向き合っていけます。

この記事を書いた人

吉森彩

株式会社MEDI-TRAIN富山事業部長
理学療法士/福祉住環境コーディネーター
健康経営アドバイザー
富山県内の産婦人科クリニックにて、産前産後ケアや赤ちゃんの発育ケアなどを実施。骨盤底リハビリテーション、月経随伴症状、更年期症状など女性特有の健康課題の対策を専門とする。
富山県内で企業の健康経営サポートも行っている。

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